現代のうつ病と従来のうつ病についてのレポート 横地里奈

くれたけ心理相談室では、うつの対策について真摯に取り組ませていただいております。横地里奈カウンセラーが、「現代のうつ病と従来のうつ病について」のレポートを作成いたしました。情報としてご参考にしていただければ幸いです。

現代のうつ病と従来のうつ病について
~その違いと臨床心理学的観点からの分析~ 

はじめに

今回うつ病をテーマに選んだ根拠には2つの要因がある。

 第一に、近代の日本においてうつ病は社会問題へと変化しつつあり、もはや問題にまでなっている。大阪商工会議所(2009)によれば日本人口の約2%~3%がうつ病とみられ、一生のうち一度以上うつ病にかかったことのある人は約12%~15%といわれている。単的に数字で表すと日本の人口約1億2千万人の内、約254万人~381万人程の人がうつ病に悩まされていることになる。

 2010年5月14日の警視庁の発表によると平成21年度の自殺者累計は3万2845人であった。うち全体の半数ほどを占める47%(1万5867人)が健康問題を原因として自ら命を絶ったとされており、自殺者の5分の1がうつ病であったと推定されている。また自殺企図(自殺未遂)は助かることが多く自殺既遂者の約10倍であるとの推計も出ている。

 冒頭で自殺についてもう少しだけ触れておく。自殺に至る経緯は以下の通りである。まず正常者でも感じる「不快気分」を感じるのだがうつ病患者のおよそ60~70%が「不快気分」と共に「不安」を感じると報告している。フロイトはメランコリアや病的なうつと喪mourmingを区別する特徴として罪悪感をあげている。特徴としては低い自己評価、無力感悲観、絶望感など希死念慮と自殺企図は病的なうつ病の要素であることが多い。自殺で死亡する率は急性病期中の1年間に約1%で反復性のうつ病患者の障害を通じて15%である。Klerman(1982)

 多くの患者が希死念慮を抱くが自殺の意思を持つ人は少数である。危険な期間は急性期症状寛解後の数週ないし数か月までに及ぶ。自殺死亡率が最高になるのは症状の改善が始まって6~9カ月の期間である。

 第二に山田和男著の『「ニュータイプなうつ病」がわかる本』に興味を引かれたからである。著者によるとうつ病は変化しつつあり従来型だけでは分析対応しきれないとも記している。

今回は従来型のうつ病(メランコリー性うつ病)と現在増加しつつある現代型うつ病(ニュータイプなうつ病・非定型うつ病)の相違点について考察する。

時代の変化とうつ病の変化

 冒頭でも述べたようにうつ病は今や社会問題へと変化してきている。しかし、それは今に始まったことだろうか。メランコリー親和型性格を提唱したテレンバッハ(1961)の時代にはもちろんうつ病は存在している。野村(2008)によればそもそも今日憂うつ気分の代名詞として使われる「メランコリー」という言葉は古代ギリシャ語に由来している。

 いつの時代も人間にはストレッサーというストレス要因が存在していたと考えても過言ではない。ではなぜ現代になってうつ病者が増え、社会問題とされ、さらには現代型うつ病という全く新しい型のうつ病が出てきたのだろうか。

「うつ」「躁」とは

先ほどから「うつ病」について書いてきたが「うつ」とは何か。「うつ病」を語る上において必ず出てくる「躁」とは何か。ブライアン・P・クイン(2003)によると「うつ病」は「気分障害」である。「気分障害」と一口に言っても様々であり同様に「うつ病」と言っても様々である。

 「うつ病」は大きく分けて「単極性障害」と「双極性障害」との2種類に分類できる。さらに単極性障害は「大うつ病」と「気分変調型」の2つに分類される。一方の「双極性障害」は「双極性Ⅰ型」「双極性Ⅱ型」「気分循環症」の3つに分類される。図にすると以下のようになる。

<主な気分障害>
単極性障害
(うつのみ)
大うつ病 重いうつ
気分変調型 軽いが慢性的なうつ
双極性障害
(うつと躁)
双極Ⅰ型障害(躁うつ病) うつも躁も重い
双極Ⅱ型障害 躁が比較的軽い
気分循環症  うつも躁も軽いが慢性的

ブライアン・P・クイン(2003)「『うつ』と『躁』の教科書」より抜粋


山田(2009)によると、従来型うつ病(メランコリー性うつ病)は主に単極性で、双極性・躁病・軽躁病のエピソードがないのであり現代型うつ病(ニュータイプなうつ病)はDSM-Ⅳに載っているものであれば双極型(「双極Ⅰ型障害」、「双極Ⅱ型障害」の大うつ病エピソードのタイプ)非定型、DSM-Ⅳに載っていないもので最近注目されている、笠原嘉と木村敏が1975年に提唱した「うつ病の笠原・木村分類」のⅢ型。通称「葛藤反応型」などである。

ほかにも「逃避型うつ病(逃避型抑うつ)」「未熟型うつ病」「恐怖症型うつ病」「職業結合性うつ病」「ディスチミア親和型うつ病」「双極性スペクトラム障害」等これは分類ではないがパーソナリティ障害を併存したうつ病など従来型うつ病と比べ現代型うつ病のタイプは様々である。

従来型のうつ病(メランコリー性うつ病)とは

『精神障害の診断と統計の手引き』DSM-Ⅳ(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)によればメランコリー性の特徴は年長者により多く発症する傾向がある。これらの特徴は同一人物においては何回かのエピソードを経験するとき、多少繰り返してみられる傾向がある。デキサメサゾン非抑制・副腎皮質機能亢進・レム潜時の減少・チラミン負荷試験の異常・両側聴覚試験での異常な非対象性などの検査所見と関連することがより多い。

メランコリー性の特徴の特定用語の基準

メランコリー性の特徴を伴うもの(大うつ病性障害における現在または最も新しい大うつ病エピソードおよび、双極Ⅰ型またはⅡがた障害における大うつ病エピソードに対してそれが気分障害エピソードのもっとも新しい病型である場合、適用することができる。)

A. 現在のエピソードの最も重症の期間に、以下のどちらかが起こる。

 (1) すべての、またはほとんどすべての活動における喜びの消失
 (2) 普段快適である刺激に対する反応の消失(なにか良いことが起こった場合にも、一時的にさえ、よりよい気分にならない)

B. 以下のうち3つ(またはそれ以上、)

 (1) はっきり他と区別できる性質の抑うつ気分(すなわち、抑うつ気分は愛するものの死の後に経験されるような感情とははっきり異なるものとして経験される).
 (2) 抑うつは決まって朝に悪化する.
 (3) 早朝覚醒(通常の起床時間より少なくとも2時間早い).
 (4) 著しい精神運動制止または焦燥.
 (5) 明らかな食欲不振または体重減少.
 (6) 過度または不適切な罪責感.

「精神障害の診断と統計の手引き」DSM-Ⅳより抜粋

発病前の性格は真面目、几帳面、責任感が強く、他人に細やかな気配りができる、ある意味典型的な日本人像が特徴であるともいえる。テレンバッハ(1961)はこの性格を「メランコリー親和型性格」と呼びうつ病の病前性格であると唱えた。おもにこの「メランコリー親和型性格」は現在の50代前半などの中年期、壮年期に多いと言われている。治療は休息と抗うつ薬の投与、カウンセリング等である。
山田和男著(2009)「医者を悩ます『ニュータイプなうつ病』がわかる本」より孫引き

事例1~従来のうつ病(メランコリー性うつ病)システムエンジニアのA氏の場合~

初診時:

36歳 男性

家族歴:

3人兄弟の第1子で両親は工務店を自営業。29歳のときに同僚だった1歳年下の妻と結婚し、3年後に第1子が誕生。

主訴:

不眠、寝汗、掌、足の裏の発汗、抑うつ気分、食欲低下、疲労感

発症まで:

第1子が誕生すると同時に上司が突然退社しSEのプロジェクトチームのチームリーダーになった。退社した上司は入社以降9年間ずっと世話になっておりこの異動は単に仕事上の役割の変化だけでなく、大きな喪失体験を伴っている。

面接方法:

初診1回は45分、再診は初回5回目までは週1回15~20分程度、以降2週間に1回10分程度で前治療期間は5カ月で森田療法を用いた。

初回面接:

一通りの病歴などを聞いたのちに3年前の昇進について詳しく聞いた。1年前に大きなプロジェクトを任され終電で帰宅、休日出勤は当然で月の残業時間は200時間を超え平均睡眠時間は5時間未満であった。森田療法では初期治療にかかる2~3週間の過ごし方が重要であり丁度A氏の大きなプロジェクトがひと段落する時期に3週間の休みを取るように勧めた。

治療前期(2~6回):

2回目の面接ではA氏の仕事について。システムネットワークの構築の仕事をしており商事会社ということで多くの品目を量的に管理し、他部署からの要求に対し交渉、クレーム対応などをこなし質的に高度なソフトウエアを開発していた。

3回目では1週間の仕事ぶりについて。この時には休暇をとる為に部下に仕事を振り分けなければならなかったが、誰にどの仕事を振り分けるかよりも誰が見ても良く分かる申し送り資料を作ることに力を注いだ。

4回目、この週に1週間休暇を取る。しかし部下からのメールに対しどう対応すべきか悩んでいるとの報告。

5回目、面接にA氏はスーツで現れた。「もうあと1週間で復帰ですから」と焦り
の色が見えた。1週間睡眠も食欲も十分に取れ、寝起きも良好だが疲れやすいと
話した。

6回目、3週間の休暇の最終日。5回目に比べだいぶ落ち着いた様子。いつもどおりに仕事をするのではなく必要最小限にすることが大切であるとカウンセラーは伝えた。

治療後期(7~12回):

7回目、復帰後はA氏が全てを背負うのではなくメンバー間の情報伝達を上手く図り、この2週間勤務時間内に仕事を終えていることを自慢げに話した。

8回目・9回目、仕事の進め方、対人問題についての行き詰まりを解決策のセットで報告されることが多く助言する必要はなかった。

10回目、処方している睡眠導入剤を飲み忘れる事が多くなったと話す。

11回目の面接はキャンセルをされる。

12回目の面接では11回目のキャンセルについて多忙であったと話した。薬を飲まないで生活していると報告し面接では相談された時のみ助言するスタイルを取った。ここで一旦治療終結。

橋本和幸(2005)「森田療法で読む うつ」より引用・抜粋

考察

A氏には頑張るが力を注ぐ場所がずれていて空回りをしてしまう節があると橋本(2005)は言う。確かにA氏はからまわりをしてしまう節があり、またA氏が空回りであっても頑張り過ぎてしまう為に部下が頼りきっているのではないかと考える。しかしこれはA氏に原因があるともいえる。何故ならA氏が全ての仕事を背負いこみ部下に仕事を振り分けることをせず、部下もそんなA氏に甘えきってしまうという悪循環の結果がA氏のうつ病であったと言える。

A氏は長男(第1子)である。長男という立場上おそらく幼い頃から責任感や使命感を強く要求されることが多くその上両親が自営業ということで家の仕事も少なか
らず手伝い、弟2人の相手をしていたのではないだろうか。それ故、人に仕事を割り振る事が苦手になったのではないだろうか。加えて部下に指示を出しても途中で手を出してしまったり、部下に求める完成度が高度なものであったり、部下のやる気が半減してしまったこともあったのではないかと考えられる。上司の突然の退社については長男という立場からあまり感じる事の出来なかった弟の体験を退社した上司はA氏にさせていたと考えられ、その上司の席に自分が座る、思ってもなかった大役に張り切りながらも大きなプレッシャーと戦った事がうつ病になった原因だとも考えられる。

現代型うつ病(ニュータイプなうつ病)とは

 ニュータイプなうつ病は今までのうつ病とは異なり様々なタイプがあり、単極型ではなく双極型あるいは非定型のどちらかの場合である。
非定型の特徴は女性で2~3倍多く見られる。非定型の特徴を伴うものでは抑うつエピソードの初発年齢がより若い(例えば.高校生の間)と報告され.しばしばより慢性であり.挿話的経過を示すことが少なくエピソードの間歇期では部分寛解のみを伴う.若い人達ではより非定型の特徴を伴いやすく、一方年長のものは、より多くメランコリー型の特徴を伴う.非定型の特徴を伴うエピソードは双極Ⅰ型、Ⅱ型障害や大うつ病性障害、反復性、季節型として起こるものに、より多く認められる。

非定型の特徴の特定用語の基準

非定型の特徴を伴うもの(大うつ病性障害または双極Ⅰ型または双極Ⅱ型障害で気分エピソードのもっとも新しい病型が大うつエピソードである場合に、最近2週間の大うつ病エピソードの間にこれらの特徴が優勢であるとき、または気分変調性障害の最近の2年間に、これらの特徴が優勢な場合に適用することができる).

A. 気分の反応性(すなわち、現在の,または可能性のある楽しい出来事に反応して気分が明るくなる).

B. 次の特徴の内2つ(またはそれ以上).
 (1) 著明な体重増加または食欲の増加.
 (2) 過眠.
 (3) 鉛様の麻痺(すなわち.手や足の重い,鉛のような感覚).
 (4) 長時間にわたり対人関係の拒絶を起こす敏感さ(気分障害のエピソードの間だけに限定されるものでない)で,著しい社会的または職業的障害を引き起こしている.

C. 同一エピソードの間にメランコリー型の特徴を伴うもの,または緊張病性の特徴を伴うものの基準を満たさない.

「精神障害の診断と統計の手引き」DSM-Ⅳより抜粋

事例2~現代型うつ病 大学生のBさんの場合~

初診時:

22歳 女

主訴:

眠気、過食傾向、やる気の低下、イライラ

家族:

両親、3歳上の兄と4人暮らし

発症まで:

私立の女子中学校・高校を経て、短期大学英文科へ入学したが、心理学に関する仕事がしたいと考え、他大学を受験し入学。入学後、心理学とは関係なさそうな授業が多く興味が薄れ、親しい友人もできず、サークルにも馴染めずGW以降休みがちになる。夏休み以降には全く登校しなくなり、母親が心配し受診。現在休学中。

治療初期:

面接当初ほとんど話をしなかったが、時間が経つにつれ話し始める。大学が思ったもとの違っていた、女子高育ちのためかクラスメイトに馴染めない、大学に行きたいが体が動かない、親は自分の苦しみを分かってくれないなど。
留年せずに卒業をしたいが朝起きられず、昼ごろに起きるも体が重く気力も湧かず休んでしまう。先の事を考えると憂うつな気分になりイライラすると話し、抗うつ薬を処方すると共に大学側には3カ月の自宅療養を理由に診断書を提出し休学。

治療中期:

大学を休みうつ病の治療を続け、2カ月後にはほとんどイライラせずに、昼間も起きていられるようになると同時期に、高校時代の友人と遊びに行くことも旅行に行けるようになる。この様子から復学を進めると「キリが悪いので1年留年し、4月から復学したい」と話すも4月に近づくにつれうつ病の症状が再出する。
薬を増量するも効果がほとんどなく4月からも休学を続けている。

治療後期:

いつまでも復学できないBさんを心配した両親はBさんに内緒で外来に現れ「学校には行かないのに、友人とは遊びに行き、最近ではアルバイトをしていた。
何を頼んでも『自分はうつ病だから』と言い注意をすると怒り、物を投げヒステリックに喚き『親の育てかたが悪いからこうなった。責任をとれ』というがこれは本当にうつ病なのか」と相談していった。Bさんは現在(2009年の時点)も休学中。うつ病そのものは治っているが、母親と話すときはイライラしているという。復学しようとするとうつ病の症状が再出する。今では心理学に対する興味も薄れ、大学を辞めデザイナーになりたいと言うも母親からの反対に悩んでいるという。

山田和夫(2009)「医者を悩ますニュータイプなうつ病」より抜粋

考察

Bさんの場合当てはまるタイプは非定型うつ病だと考えられる。中でも注目すべき点は母親と会話する際のイライラである。ブライアン(2003)によると非定型は現在非常に多く、気分の改善は不安定で、批判されたり拒絶されたりするとすぐに打ちのめされて気分が逆戻りしてしまう。また、他人の拒絶に特に敏感な人は、人間関係にトラブルを抱える事が多い過剰に反応するも怒りは相手に直接的には向けられないというがBさんは母親に対して怒りを表に出している。これは山田(2009)のいう他罰的であるといえる。Bさんは自分がどういう状況でどうしていけばいいのかをカウンセラーに文献内では相談していない。

本当に向き合おうとしていたのだろうか。高校の友人と遊びに行けるのは自分の事を認め受け入れてくれる相手、または現状から一時でも開放されるからではないだろうか。また見守って欲しい対象である両親からも疑われ発病当時からある苦しみが理解されないという気持ちが膨らみ身近な存在である母親に対し怒りをぶつけているのだろう。

考えるに改善すべき点は2つある。1つ目は両親の疑心を晴らしBさんと非定型うつ病について理解を深めてもらう事、2つ目はうつ病を治すと同時にBさんの内にある真の問題を見つけ出しケアしていくことが重要であると考えられる。


もう一方の双極型は山田(2009)によれば双極性障害とも言い「双極性うつ病」「双極うつ病」と呼ばれることもある。双極性障害は以前、「躁うつ病」と呼ばれており躁病エピソードや軽躁病エピソードなどがみられる。DSM-Ⅳでは双極性障害をⅠ型とⅡ型に分けている。躁病エピソードか混合性エピソードがみられるものを「双極性障害Ⅰ型」、大うつ病エピソードの合間に軽躁病エピソードがみられるものを「双極性Ⅱ型障害」としている。

軽躁病エピソード

A.持続的に高揚した、開放的な、または易怒的な気分が、少なくとも4日間続くはっきりとした期間があり、それは抑うつのない状態の気分とは明らかに異なっている。

B.気分の障害の期間中、以下の症状のうち3つ(それ以上)が持続しており(気分が単に易怒的な場合は4つ)はっきりと認められる程度に存在している。
(1)自尊心の肥大、または誇大
(2)睡眠欲求の減少(例:3時間眠っただけでよく休めたと感じる)
(3)普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする心迫
(4)観念奔逸、またはいくつもの考えが競い合っているという主観的な体験
(5)注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないかまたは関係のない外的刺激によってほかに転じる)
(6)目標志向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加、または精神運動性の焦燥
(7)まずい結果になる可能性が高い快楽的活動に熱中すること(例:制御の利かない買いあさり、性的無分別、または、ばかげた商売への投資などに専念する人)

A.エピソードには、症状のないときには、その人に特徴的でない明確な機能変化が随伴する。
B.気分の障害や機能の変化は、他者から観察可能である。
は職業的機能に著しい障害を起こすほど、または入院を必要するほど重篤でなく、精神病性の特徴は存在しなく、精神病性の特徴は存在しない。
D.症状は、物質(例:乱用薬物、投薬、あるいは他の治療)の直接的な生理学的作用、または一般身体疾患(例:甲状腺線機能亢進症)によるものではない。

注:身体的な抗うつ治療(例:投薬、電気けいれん治療、光療法)によって明らかに引き起こされたうつ病様のエピソードは、双極Ⅰ型障害の診断にあたるものとするべきではない。

躁病エピソード

A. 気分が以上かつ持続的に高揚し、開放的または易怒的ないつもとは異なった時期が、少なくとも1週間持続する(入院治療が必要な場合はいかなる時期でもよい)。

B. 気分の障害の期間中、以下の症状のうち3つ(またはそれ以上)が持続しており気分が単に易怒的な場合は4つ)、はっきりと認められる程度に存在している。
(1) 自尊心の肥大、または誇大
(2) 睡眠欲求の減少(例:3時間眠っただけでよく休めたと感じる)
(3) 普段よりも多弁であるか、しゃべり続けようとする心迫
(4) 観念奔逸、またはいくつもの考えが競い合っているという主観的な体験
(5) 注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないかまたは関係のない外的刺激によって他に転じる)
(6) 目標志向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加、または精神運動性の焦燥
(7) まずい結果になる可能性が高い快楽的活動に熱中すること(例:制御の利かない買いあさり、性的無分別、または、ばかげた商売への投資などに専念すること)症状は混合性エピソードの基準を満たさない。

C. 気分の障害は、職業的機能や日常の社会活動または他人との人間関係に著しい障害ほど起こすほどまたは自己または他者を傷つけるのを防ぐため入院が必要であるほど重篤であるか、または精神病性の特徴が存在する。

D. 症状は、物質(例:乱用薬物、投薬、あるいは他の治療)の直接的な生理学的作用、または一般身体疾患(例:甲状腺機能亢進症)によるものではない。

注:身体的な抗うつ治療(例:投薬、電気けいれん治療、光療法)によって明らかに引き起こされたうつ病様のエピソードは、双極Ⅰ型障害の診断にあたるものとするべきではない。

「精神障害の診断と統計の手引き」DSM-Ⅳより抜粋

病前性格はメランコニー親和型性格とは限らず自責的ではなく他罰的な面も持ち合わせ年齢も若年層が多い。このことと関係して大井(1992)は思春期の双極性障害の病像の特徴としてうつ病相のみの単極性障害が少なく双極性の過程をとりやすくperris,C83.8%,Hassanyeh,Fら80%,山田75%などであり低年齢ほど躁状態に陥りやすく年齢が長ずるにつれて躁状態は減少していくと記している。

相違点についての考察

今回はAさんとBさんの2例のみであるが、この2例と特徴と元に考察する。

先にAさんのメランコリー性うつ病について、後にBさんの現代型うつ病について記す。現在、Aさんは「目の前の事に一生懸命努力する」目の前にある問題点について正面から向かい改善しようとするのに対しBさんは「目標に向かう」目の前にある事ではなく少し先にある目標(デザイナーになりたい)に向かっている。

発病時のAさんとBさんを比較した場合、一番大きな違いは自分が動こうとしているか否かであると考えられる。Aさんは不本意な現状に対し不安や不満を感じ、自分の理想とする現実に立て直しを図ろうと努力していた。それに対しBさんは無気力になり大学へも行かず家にこもる事が多く、母親に不満をぶつけることも多い所からも自分で何とかしようとする努力が見られない。

これは、Aさんの中の幼い頃から育ってきた強烈な責任感、または義務感から発生したことでこれが発病の原因となっているとも考えられないだろうか。一方Bさんは自分の将来を含む生活の中で強い責任感や義務感が少ないと同時にどこか他にその責任や義務を求めている事それが自分自身のやる気の半減となりまた、発病の原因とも考えられるのではないだろうか。

一つの仮説として幼い頃からの育った環境もうつ病の原因の1つと成りえるのではないだろうかと考える。

終わりに

今回各タイプ1人ずつの事例を挙げたが最終的には数例を研究すれは共に共通点や他の相違点等も見つけられると考える。そこから発病の経緯または特徴などがより明確になってくると考える。また昨今挙げられている自己愛型パーソナリティ障害、アパシーとうつ病との関わりも考察出来たらと考えている。

くれたけ心理相談室 横地里奈

参考・引用文献

E・ジェイコブソン(1983)「うつ病の精神分析」 岩崎学術出版
樋口輝彦ら(1996)「感情障害とリズム障害」岩崎学術出版社
風祭元ら(1998)「気分障害と類縁反応」中山書店
横山知行ら(1998)「<うつ病>論文集」 星和書店
高田明和 (2001)「心の病気はなぜ起こるか」朝日選書
ブライアン・P.クイン(2003)「『うつ』と『躁』の教科書」紀伊国屋書店
松下正明ら (2004)「気分障害の診察学―初心から治療終了まで」中山書店
メンタルヘルス・マネジメント検定試験(2009) 大阪商工会議所
山田和男(2009)「医者を悩ます『ニュータイプなうつ病』がわかる本」 講談社
北西憲二・中村敬ら(2005)「森田療法で読む うつ」 白揚社
野村総一郎(2008)「うつ病の真実」日本評論社
井上果子ら(1998)「境界例と自己愛の障害―理解と治療にむけてー」 サイエンス社
G.L.クラーマンら(1997)「うつ病の退陣関係療法」 岩崎学術出版社
J.F.マスターソン (1990)「自己愛と境界例」 星和書店

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